「失礼しやす」
突然聴こえた低い声に、驚いて入口を見た。
入ってきたのは、頭に包帯をグルグル巻いている与一さん。
……見てて痛々しい。
「戸村のセンセイがみえました」
「いまいく」
戸村(とむら)って、さっきも廊下で聴いた名前だ。
誰だろう、って首をかしげると、医者だと教えてくれた。
「私はいきますね。愛理さんはおとなしくしててください」
「ま、待って!! 総司さんはどうなるの!?」
他の組に捕まってるのに、なんでみんな助けにいこうとしないの?
祐輔さんは人差し指を口元にたてて、不敵に笑った。
「もう、帰ってきたみたいですよ」

