愛の手


一瞬大きく目を見開いた祐輔さんは、次に大きく声をあげて笑った。

こんなに笑う祐輔さん、はじめて見た。



「ははは、す、すみません。笑ってしまって」

「……いえ」


こんな状況で、なんで笑えるの?

ゲームでもしてるみたいに客観的に事態を見る祐輔さんは、笑いすぎて涙目になっていた。



「私たちはね、若に拾われた身なんですよ」

「……拾われた?」

肯定するようにうなずくと、いつもの祐輔さんに戻ってた。


「孤児や両親の離婚、親が犯罪者になってしまったり……。なにかしらワケを抱えた人たちが、浅葱組に入ってるんです」

「そう、なの?」

みんな優しいのに、彼らには暗い過去がある。

それを拾ったのは、浅葱組である組長。




「一度は失ったこの心をとり戻してくれたのは若です。だから私たちは、若が望むことは……叶えてやりたいんですよ」


そういった祐輔さんは、誇らしげに笑った。