愛の手


「なんで捕まったの?」

他の組ってことは、一応敵だよね。

仲良しこよし、なんてカワイイ問題じゃないよね。


そんなの、素人のあたしが見てもわかるくらい、凄まじい現状。





「取り引きにいったんです」

「取り引き?」

「えぇ……取り引きを成立させるのは、それ相応の対価が必要です」


取り引きをするのに、こんな戦争みたいになるの!?




「これが、ヤクザの世界ですから」

祐輔さんは、悲しそうな瞳を浮かべた。



間違ってる気がして、あたしはつい考えなしに口を開いた。

「みんな傷だらけになってまで、総司さんの決断することを叶えてあげちゃうの!?」



おかしいよ。

なんで他人のために、あんな怪我を負うの?





死ぬかもしれない、大きな怪我を……