愛の手


「捕まったって……誰に?」


警察とか?

人傷沙汰になって逮捕とか?



……そういえばあたし、被害届出してないや。



ってそうじゃなくて。


祐輔さんはあたしの肩を抱くと、部屋を出た。

あの場所で話すのはいけなかったらしい。



移動させられたのは、あたしに与えられた部屋。

バッグを放り投げたままだったから、ちょっと汚く見えるあたしの部屋。





あらたまって座ると、祐輔さんはまたため息をもらした。

「若は、違う組のヤツらに捕まったんです」

「違う組?」

っていうと、ヤクザってことだよね。



なんだ、警察じゃないんだ。



ほっとしたあたしの心。

……なんでだ?