愛の手


祐輔さんは眉をひそめた。


いいたくなさそう。

……ううん、いう気がないんだ。




「とにかく、愛理さんは宿題を……」

「こんなときに……宿題なんてやってられると思う!!?」



部屋に血の匂いが届いて、廊下は騒がしい。

ふすまを開ければ、そこには怪我した組員がいっぱい。



その状況で、宿題をやれと!?





祐輔さんは、優しいんじゃないんだ。

あたしを無関係な人、って区別して、突き放そうとしてる。


――…優しく見えてただけなんだ。


「……総司さんは?」

あたしは、姿の見えない若様をさがした。