愛の手


――…バタンッ


「あ、愛理さんっ!!?」

「っ、ぁあ、はぁっ」

切れた息を整えながら、あたしはあたりを見渡した。



白い包帯で止血してるのに、赤い血がにじんでいる組員たち。

胸や腹、頭や腕――…どこかしら怪我を負っている。




唯一無傷なのは、あたしと一緒にいた仁さんと祐輔さんだけ。






「愛理さん、部屋にいってください」

祐輔さんは隠すようにあたしの前に立った。


「い…っゃ……、どうしたのか、…教えて」

ふり絞るような声で、わずかに反抗した。



人が苦しんでいるというのに、見て見ぬフリなんて出来ない。

それがたとえ、あたしを傷つけたヤツらだとしても。