愛の手


家に着くと、なにやら騒がしく家の中がバタバタしていた。

祐輔さんはいつもの調子で、優しい顔で扉を開けてくれた。

一瞬仁さんに目線を送ると、なにを感じとったのか、仁さんは走って先に家の中へ入っていった。



「どうしたの?」

「なんでもありませんよ。ネズミが出たみたいです」

「ネズミ?」

「えぇ、とても大きな、ね」


こんな大きな屋敷でも、ネズミって出るものなんだね。

……誰か不衛生にしてるんじゃないの?



「愛理さんは部屋で、宿題でもしていてくださいね」

「え……っ」

めずらしくあたしを部屋まで送ることなく、祐輔さんはお辞儀をしてその場を去っていった。


……あたしはしょせん部外者なんだ。