あたし、特別でもなんでもないよ?
――…ただ買われた人形。
ご主人様に逆らうことの出来ない、たんなる人形なんだよ。
「……あたし、総司さんに買われただけだもん」
気づくと不満をもらすのは、あたしの悪いクセかもしれない。
無意識に出た言葉に、仁さんは微動だにしなかった。
「買われたのは、お嬢の借金をなくすためです」
返事がくると思ってなかったせいで、驚いてふり返った。
やっぱり無表情の仁さん。
どことなく優しい感じがしたのは、口の端がほんの少しだけゆるんでいたからだろう。
「こうしてお嬢の好きなところへ連れていく配慮も、若がしてるんですよ」
「え……っ」
あたしは目を見開いた。

