愛の手


「若が認めた女って、お嬢が初めてなんだぜ」

「え、そうなの?」

いわれてみると、浅葱組に女性は一人もいない。

全員が組員であり、男性だ。


ん…っ?

総司さんのご両親は?



疑問はすぐに、康平さんが解決してくれた。




「若ってさ、十七のときに両親亡くしてんだ」

「……あたしと、おなじくらいのときに?」

康平さんは大きくうなずいた。


「母親が裏切ったらしいよ。組員をとっては食って、まるで悪女みたいな女だったんだって。それにキレた組長――…若の父親が、心中したんだ」


初めてきく、総司さんのこと。

浅葱組を率いるトップ。

人をゴミみたいに扱い、お金のみを信じる男。




そう思ってたのに――…