愛の手


何件か通りすぎて、よったのは眼鏡屋さん。

自動ドアがすっと開き、前を先導するように歩く康平さん。



「いらっしゃいませ」

店員の女の子がすかさず声をかけた。


それもそのはず……

いくら茶髪で、いくらチャラそうに見えても、カッコイイことはカッコイイ。


やっぱ話したいんじゃないのかな?


「お姉さん、キレイですね。今日何時にあがるの?」

「え、やだぁ、もー」

……おいっ!!


はやくもナンパしてる康平さん。

店員もまんざらではない様子。



「彼女いるのに悪いよぉー」

あたしか?

ちらっと見た女の目が、野獣のように光っていた。


「あの人は彼女よりも大事な人だよ」

康平さんの言葉に、あたしは目を見開いた。