愛の手


「どこかいきたいとことかあります?」


いきたいとこ、といわれても……

突然出かけてるからどこにいきたい、とか思いつかない。



首を横にふった。



「欲ねぇなー」

だってお金ないし、なんていえないけどね。


「じゃあ今日は買い物しようぜ。ご飯おごってあげますよ」

「…なんで?」

「そんな気分だから」


康平さんはうすく色のついたサングラスをかけると、バイクを駐輪場まで移動させた。