愛の手


――…


「ちょっとちょっと!! もっとスピード落としてよぉぉぉっ!!!!!」

「へー? なんかいいましたかぁ?」

ビュンビュンと風が通りすぎる音が、余計に恐怖心をあおった。



ヒマと告げたあたしは、即座に康平さんによって拉致られた。

それも乗ったことのない、バイクという代物に乗せられた。

あたし友達いないし、礼央だってバイク持ってないからさ!!



……バイクってジェットコースターなみに怖いね。



「康平さんっ!! 前見てよぉぉお!!!!」

「悪いっスけど、聴こえないや」


いや、絶対聴こえてるよ!!

あたしの悲鳴はことごとく無視され、わけもわからず必死で康平さんにしがみついた。