愛の手


男は一瞬、目を見開いて、そして――…

「違いますよ」

と、優しく首を横にふった。




「申し遅れました。私は須藤 祐輔(すどう ゆうすけ)と申します」

ていねいに頭を下げた。

あきらかにあたしより年上の男――…須藤さんに、あたしも横になりながら首だけうなずくように動かした。

本当は礼したつもりなんだけどね。


「あ、あああ、あたしは……」

「愛理さん、ですよね」

あわてて自己紹介を返そうとすると、名前を先にいわれてしまい、思わずうなずいた。


なんで知ってるんだろう?


素直にうなずいたのが嬉しかったのか、須藤さんは目尻を下げた。