あたしがまだ幼稚園に通ってたとき、近所に優しいお兄ちゃんがいた。
いつも優しくて、笑顔で……
泣いてるあたしを抱き上げてくれた、初恋のヒト。
「愛理ちゃん、どうしたの?」
泣いてるあたしに問いかける声は、慰めるように優しい声。
「うえぇ……ひぅっ」
優しい声に、また涙があふれる。
そうすると決まって抱っこして、頭をなでてくれた。
彼の手が大好きで、あたしはその手が欲しくてウソ泣きをしたこともあった。
お父さんの仕事関係の息子だという、初恋のヒト。
両親が共働きでいないときも面倒を見てくれた。
年上のお兄ちゃん。

