チーフが常務の奥さん同様
頷きながら、おばあちゃんの
話を聴いている。

『そうだったんですか‥。』

おばあちゃんは、心の
拠り所も無く、時々
美容室に来て髪を整えながら
チーフとお話しをする事に
安らぎを感じていたそうだ。

そんなおばあちゃんの
話を聴いて麗子が鼻を
すすり上げながら影で
ひっそり涙していた。

『これからも時々、
寄らせて頂いても良い
かしらねぇ‥。』

『勿論ですとも!
これからは、お嫁さんに
気兼ねせずに、どんどん
お外に出て、人生を楽しんで
下さい。

息子さんの事はお気の毒
でしたけれど、嘆いていては
きっと息子さんも悲しみ
ますわ!
私で宜しければいつでも
元気になるお手伝いを
させて頂きますよ♪
いつでもいらして下さいな。』

その言葉におばあちゃんが
にっこりと微笑んだ。

『森嶋さん‥有難う。
そうだわ!お代をお支払い
しないと‥。』

おばあちゃんが、がま口から
お金を取り出そうとした。

『いえいえいえ。
お代は結構ですよ!
私が勝手にやらせて頂いたん
ですから!』

チーフが慌てて断ったが、
おばあちゃんは、それでは
気が済まない様だった。

『じゃあ、こうしましょう!
また元気なお顔を拝見させて
下さいな。棚橋様の元気な
笑顔を見られる事が
私の一番の報酬ですから♪』