カラオケ店を出ると
麗子をおぶってまだまだ
眠らない街並みを行く‥
やっと灯りの消えた
美容室の白い扉が見えて来た。
鍵を開け、店の中に入ると、
カウンター裏の棚に並ぶ
顧客台帳から〔い行〕の
インデックスを拾い、
麗子の名前を探し始めた。
『えーと、一宮‥一宮
一宮麗子と‥あった!
わりと近いじゃん。』
麗子は背中で寝息を
立てている。
麗子のアドレスが判ると、
台帳のページの端に
ボールペンで何か記入し、
パタンと閉じて元の棚へ
戻した。
台帳には小さくローザと
書かれていた。
ヨッコイショ
チーフは麗子を背負い直すと
再び店を出た。
One day a girl came
across a bear's cub
in a forest.~♪
Yearn for the lullaby
of the mom,~♪
繁華街を抜けて静かになった
公園通りを抜けて、子守歌を
口ずさみながら歩いた。


