「樹梨、ごめん」
「え?」
「ウチ、用事思い出したから家帰るね」
「え?分かりました」
「じゃあね。バイバイ」
ウチは大樹と会わずに家に帰った。
…勉強しなきゃ!勉強!
ー赤根家ー
「ただいま」
「あ、お兄ちゃん」
「どうした?」
「さっき双葉先輩が来てたよ」
「双葉が?」
「うん。お兄ちゃんに会いに来たんだけど用事思い出したからって帰った」
「…ごめん。樹梨、出掛けてくる」
「分かった」
…………
………
……
「うわ…さっぱり分かんない」
教科書を見てもワークを見てもさっぱり分からない。
「どうしよう…」
「お前は馬鹿か?」
「え…?」
ドアの方を見ると息を切らしているいつものようにCOOLな大樹がウチを見下すように立っていた。
「だ、だ大樹?!」
「樹梨から聞いた。数学を教えるんだって?」
「まぁ」
「だから勉強か」
「うん」