遡ること…数十分前。


「蓮ちゃんは私の事が好きなのよ、なのに…どうして諦めないのよ…」
「簡単だよ。アタシも蓮人と同じってこと。一度決めたことは、どんなに無理な事でも貫くのよ」
「ッ…」
「だから…諦めない」
「分かったわ…。そこまで言うなら、ずっと想えばいいじゃない。だけど貴方は私の未来をぐちゃぐちゃにするのよ…」
「分かってる」
「…一,二発殴らせてもらえない?」
「え…?」
「それで…スッキリすると思うから…」
「うん…いいよ」

なんてホントは恐かったり?でもアタシは婚約者を盗ろうとしてんだから舞子ちゃんが怒るのも当たり前か。

アタシは覚悟を決めて唇を噛みしめた。その瞬間…ドフゥッ!と言う鋭い音がして唇が切れた。

「ゴメンね恋叶ちゃん」

なんで謝ってくるんだろう…。

舞子ちゃんが、もう一発殴ろうとして胸ぐらを掴んだときにガラッとドアが開く音がした。中に入ってきたのは蓮人…。変なタイミングで入ってきやがって…。