「じゃあね恋叶ちゃん。ゴメンね」
と恋叶に言い舞子は保健室を出ていった。
「恋叶!」
「…蓮人」
「なぁ…何があったんだよ?」
「それは…まだ言えない」
「は?」
「だから…ッ…!」
恋叶が一瞬、顔を歪めた。
「痛…」
「最初、手当てするから」
コクリと頷いた恋叶。
俺は脱脂綿に消毒液をつけて恋叶の口元にチョンとつけた。
ビクッとなる恋叶を楽しみながら…。
嗚呼…こんなところでも俺のサド魂が出ちゃうなんて。
「んで何で、お前は舞子に殴られてた訳?」
「…女の喧嘩ってヤツ?」
「は?」
「だからアンタには関係ない」
何だ、コイツ…ムカツクんだけど…。
「へぇ…そんな怪我までしてねぇ…」
「……」
「女なのに顔に傷って馬鹿じゃねぇの?」
「ッ!…」
俺はガーゼの上から恋叶の傷を軽く押した。
「痛いって、ば!!」
「…まぁ、いいや。あんまり深く舞子と関わるんじゃねーぞ。でも何があっても俺が恋叶を必ず守るから」
「…うん」
「教室、戻れるか?」
「多分」
「じゃ、行くぞ」
「うん」
気のせいか…?
コイツが何かを秘めているような悲しい顔をしているように見えるのが…。


