王子様のお妃候補?


「んもう!アリー様はどこへ行ってしまわれたのかしら??」


カシェルク領の城の中、アリュエインの幼なじみ兼筆頭侍女のシャナは、なかなか見当たらない主に腹を立てていました。


「今日はファルマー様から御呼び立てをされているのに!!」


プリプリ怒りながら城内の広い廊下をシャナは辺りを見回しながら歩いていました。


(全く、アリー様はいっつも!いーっつも一人で勝手に城を出たり、うろちょろしなさるんだから捜すのが大変なのよね!)


門番にはアリュエインが今日は出掛けていないことを確認済みねシャナは今、必死に城内を歩きまわっていました。


(どこにいるんですか〜〜っ!!?アリー様!)



そこへ、一人の青年がやってきました。


「シャナ、どうしたんだい?怖い顔をしてるよ?」


「あっ!!フォルトマ様!!」


青年はフォルトマでした。柔らかいブロンドの髪と物腰が上品なフォルトマは、女性にたいして大変紳士的なのです。


シャナはすぐに顔を赤くして頬を両手で押さえました。


(私ったら、なんてはしたない姿を見せてしまったのかしら!!)


「シャナが困っている原因はアリーかい?」


「あ…は、はい。実は…フォルトマ様がアリー…いえ、アリュエイン様に用事があるとのことで、アリュエイン様を御呼びしているのです」


「父上が…?何だろう?僕はそんな話聞いていないけど…」


兄のミシェランとともに、父の手伝いをしているフォルトマは、ファルマーがアリュエインを急に呼びだす理由が思いあたらず、考えこみます。


(なぜ、父上は急にアリュエインを呼び出すようなことを…?しかも、そんな話を僕たちに一言も知らせないで?)


「僕も父上のもとへ行ってみよう。シャナ、アリーはまだ見つかっていないんだね?」


「はい…」


「………うーん、アリーがいそうなところ…あっ!そういえば、さっき鍛練場で激しい打ち合いが聞こえたなぁ…」


「鍛練場…ですか。わかりました、行ってみます。」

「うん、じゃあ僕は先に行くから。」


そう言って、フォルトマはファルマーのもとへ歩いて行きました。