シャナはアリュエインの周りをぐるぐると回りながら、しきりに可愛い、可愛いと連呼していました。



「ちょっ、シャナ…言い過ぎだよ…」



「そんなことありませんっ!いつもいつもいつも、スカートは嫌だと男の子みたいなズボンばかり履いていたんですもの!もう、素晴らしいです!」



感涙!


とまでいきそうなシャナに、アリュエインは苦笑いしかできませんでした


(こんな格好、あっちの人たちから見たら、お笑いでしかないと思うけど…)



「アリュエイン様!これからもずっと、こういう格好いたしましょう!そうしましょう!」



なんだか有無を言わさない響きを含ませながら言い迫るシャナに、アリュエインは、まぁまぁ、と宥めることしかできません


(すっごい気迫だ…)



このままだと、本当に毎日毎日スカート三昧にさせられるかもと想像して、アリュエインの背中には知らず知らずの内に冷や汗が流れていました



(な、なんとかしないと…)



視線をさ迷わせるアリュエインの目に、なぜか落ち込むように瞳を伏せるメイが映りました



「メイ、どうしたんだ?」


どこが具合でも悪いのかと心配になって、メイに近寄るとメイは、顔をあげないままフルフルと首を振ります。



「具合悪い?」


「具合が悪いのですか?」



シャナと思わずハモりながら、メイの顔を覗きこむと、メイは泣くのを耐えるかのように顔をくしゃくしゃにしていました


「め、メイ!?」



さすがに、慌てるとメイは、申し訳ございませんっ!といきなり頭を下げました



「へ?」


「わ、私、アリュエイン様のお世話を申しつかったのにアリュエイン様より遅く起きたばかりか、アリュエイン様の身支度も手伝えなくて…侍女失格です…!」