それは、自分の容姿でした。
アリュエインの兄たちは、眉目秀麗で街でも噂になるほど美男子でしたがアリュエインはそうではありませんでした。
アリュエインは父や兄に可愛い可愛いと言われ続けましたが、自分の容姿は”可愛い”なんてものじゃない。と理解していました。
アリュエインの髪は兄たちのようなブロンドではなく、くすんだ赤茶色の髪をしていて、くせ毛で肩より少し上の短い髪はどんなにとかしても、クルクルと巻き毛になってしまいます。
さらに、肌はどんなに日の光りを浴びても白く、その白さ故に鼻についているそばかすが目立ってしまうのです。
そんな自分がお世辞でも”可愛い”や”綺麗”の部類には入らないとアリュエインは思っていました。
だからか、普段からスカートをはかないアリュエインは、いつも”少年”と間違えられてしまいます。
アリュエインは、そのことは全然気にしてはいませんでしたが、実は、年齢より幼く見えてしまうことは、少なからず気にしていました。
「どうして子供に見られるんだ…?」
それは、アリュエインは顔が丸く、唯一気にいっている若草色の瞳が、ぐりっと大きいことと小柄な背丈によって、実年齢より幼く見えてしまうのでした。
そんなアリュエインは今年で18歳。
普通ならば結婚してもおかしくない年齢になりました。
そして、結婚しない。と決めているアリュエインは、カシェルク領でいつもと変わらない穏やかな毎日を過ごしていました。
