領民は、いつも明るいアリュエインのことも大好きでしたので、その”変わり者”ぶりに寛容でしたが、アリュエイン自身を想うと、やっぱり少し心配もしていました。
「アリュエイン様は、とても優しい可愛い娘さんだから、素敵な男性と幸せになってほしい…」
皆のその切なる願いにも関わらず、アリュエインはこれっぽっちも結婚なんて考えていませんでした。
実は、アリュエインには大きな夢があったのです。
「僕はいっぱい勉強して、お医者さんになる!そしていろんな病に苦しむ人を助けたい!」
そう、アリュエインは医者になりたかったのです。しかし、アリュエインはこのことを誰にも言えませんでした。
アルファティア王国で、女性が働くことはほとんどありません。
女性は家庭を、夫を支えるものだと考えられていたからです。
身分が低い、農民であれば女性でも働くことはありますが、身分が高い女性は働かないのが常識でした。
でも、アリュエインはいっぱい勉強して、いつか夢を叶えてやる!!と、強く願っていました。
だから、アリュエインにとって結婚なんてどうでもいいものでした。
「僕は結婚なんてしなくていいのに…。それに、僕なんかを嫁にしたいなんて酔狂な奴はいないよ。」
アリュエインは自分が変わり者であることをはっきりと自覚していました。
そして、もう一つ、アリュエインが自分は結婚できない理由を知っていました。
