そして、ファルマーには一人だけ娘がおりました。


娘の名前はアリュエイン。
ファルマーの妻のリュミエナが
「光り輝く太陽のような子に育つように…」
と祈りをこめた名前をもつ彼女をファルマーも、三人の兄たちも、リュミエナが亡くなってしまった分もアリュエインを目に入れても痛くないほど可愛がっていました。


愛情たくさんに育てられたアリュエインは、そのかいあって、優しく素直な娘に育ちました。



しかし、アリュエインは他の娘と比べると少し変わっていました。


どこが変わっているのかというと、
アリュエインは自分のことを”僕”と言っていました。


それは、小さいころから大好きな兄たちの真似がしたかったことから自然と身についてしまったのです。


そして、大好きな兄たちに近づきたいアリュエインは、さらに兄たちにならって、剣術、馬術、学問など普通の女の子…ましてや公爵家の令嬢が絶対にやらないことばかりに興味をもち、アリュエイン自身も女の子がたいてい興味をもつ、オシャレや刺繍、編み物、そして…恋に関しては全くの無頓着でした。


父も兄も初めは女の子らしく育ってほしいと願ってはいましたが、
父も兄もアリュエインには甘くて、ついついそれを許してしまい、今やアリュエインは男並み…もしくはそれ以上に知識をもち強くなっていきました。