「ここが、王の間です。」


ギギィ

と重厚な扉を開けた時に差し込んだ光に思わずアリュエインは目を覆いました。


(……!!この部屋だけ、光り輝いてる!)?


目が光に慣れてきて、よくよく王の間を観察すると床の大理石や壁の所々に小さな宝石が埋め込まれていて、それが光の反射でキラキラと輝いていました。


(すごい…。)


茫然として口をポカンと開けたままのアリュエインを促して、サムールはホールの中央へ誘導します。


そこには、既に四人の娘たちがいました。


四人とも王様との謁見だからか、部屋の装飾にも負けないくらいの美しいドレスを着ていました。


四人とも、部屋に入ってきたアリュエインを見て、一瞬眉をひそめました。

彼女たちはまた、アリュエインの旅先から帰ったばかりでヨレヨレになったコートを見てさらに目を細くしました。


アリュエインは娘たちの装いを見て感心していました。

(あんな綺麗なドレス初めて見たなぁ。うん、綺麗だ。きっとナターシャ義姉様に似合うだろう。)


そして、自分のくたびれた装いに苦笑いを禁じえることができませんでした。


(”場違い”だな、完全に。………ま、いっか。どーせ二、三ヶ月くらいしたら帰るしさ。)


娘たちの好奇か侮蔑か分からない、入り交じった視線を無視してアリュエインはにっこり笑った。


「こんにちは。」


いきなり挨拶をしだしたアリュエインに四人とも戸惑ったようです。
しかし、誰もアリュエインに返事を返しませんでした。


(ま、いいけどね…。)


アリュエインは、小さく苦笑いしたあと、おとなしく指定された場所に立っていました。



刻々とすぎる時間と、たえがたい女たちの沈黙にアリュエインはだんだん苛々してきました。


(…さっさと来い!!)


王座を睨みながら、鼻息を荒くしたところで、高らかな声が響きました。



「いらっしゃい!!候補者たち全員が来てくれて嬉しいな。」



(王様…テンション高すぎじゃない?)