―カシェルク領ー


ここは、アルファティア王国の五つの領の中で四番目に大きい領地であり、1番王都から離れている山々に囲まれた自然に溢れる土地。


カシェルク領を治めるファルマー・カシェルク公爵は、領民にも気さくに接するほど陽気で、皆から慕われていました。


カシェルク領は、ほとんどが田地や畑に囲まれていて、アルファティア王国の中では1番穏やかであり、民と公爵が直に接する”変わった場所”でした。


なぜなら、普通は、公爵の位をもつ者が領民と馴れ合わないからです。

しかし、カシェルク領では陽気なファルマーはもちろん、その子供たちも幼いころから自分たちの城から出ては領民と接して育ち、”公爵家”という肩書をあまり意識していない家族でした。


だから、領民も彼らのことが大好きでした。



そんな他の爵位もちから見れば”変わり者”の一家には、三人の息子と一人の娘がおりました。

三人の息子は上から


ミシェラン


ルアーノ


フォルトマ


と言い、カシェルク領の次期後継者である長男ミシェランは、理知的で堅実な男でかわいらしい妻と二歳になる息子もいました。


次男であるルアーノは、剣術を磨きたいという手紙を残して旅に出ている放蕩息子でしたが、
三男であるフォルトマは、兄であるミシェランを支えるべく秘書をしている優しい男でした。



三人は容姿が亡き母に似てなかなかよく、ファルマーの自慢の息子たちでもありました。