「あけるよっ!」


美春さんがドアノブに手をかける。


女将さんたちの声が重なって「せーのっ」
と大きく響いた。



ドアのかすれる音の先に見えたのは、


真っ白いタキシードに包まれた春哉の姿。


「紫奈ちゃーん、かわいーよ」
「紫奈ちゃん笑って」
「おめでとー」


みんな正装をしていて花束を持っていた。


・・・・結婚・・・式?


「紫奈、おいで」


いつもと少し違う春哉が赤面しながら
手をこちらに伸ばしている。


感動の涙が、あふれる。


「紫奈ちゃん、せっかくの化粧が台無しどよ」


という、洋の声。


あたしは、うんと頷いて顔を上げる。