公園で、和貴とサッカーの練習をしていると、急に目の前が真っ暗になった。


「か、和貴!!?和貴!!!」


和貴がいない…。

サッカーボールもない…。

光も物も人も、何もない闇。


しばらくすると、パッと周りが明るくなった。

今度は闇も物も何もない、真っ白な空間。


「ぁ…!」


目の前には、あのカワイイ女が居た。

女は、何も話そうとも動こうともせず、ただ俺をじっと見つめていた。


「なぁ。お前は誰なんだ?ここはどこなんだ?そもそも、俺は何なんだ?」


女は何も喋らず、いきなり俺に抱きついてきた。

…何か幸せな気分。


……もしかして、俺は、死ぬ…のか………?

死ぬ直前って、色んな思い出を振り返るようなのもあるらしいし、この幸せな時とか…。

普通じゃない、これって…。


「大好き…」


女が言った。

この女と俺の関係って、どういう関係だ?

戸惑っていると、女は暗い表情になった。


「五十嵐君は…、私のことなんて、何にも思ってないんだね…」

「ちょっ…、待て…!」


女は走ってどこかに消えていった。

待ってくれ!


ここは未だに何も無い真っ白な空間。

こんなところに1人は嫌だ。


だから、

待ってくれ…!!