「ただいま」

「おかえり、遅かったじゃない」

「片付けとかしてた」

バレてる…バレてる……??

「ねえねえお母さん、
 写真パソコンに入れてよ」

「後でね」

写真ってブルーと撮った写真だよね。


「あっ、姉ちゃん」

何を言い出すんだ。

「俺、かぶるんブルーと写真撮ったんだ」

知ってるよ、とは口が裂けても言えない。

「何、かぶるんじゃーって」

…しまった。
だれもかぶるん“じゃー”とは言ってない。

「正義の味方だって。
 ブルーカッコいいんだよ」

「へぇー」

「どこで撮ったと思う?」

中央公園なんだけどそんな事言えるわけない。

「遊園地?」

遊園地にそんな怪しいキャラクターがいたら
子供たちも一気に冷めるだろう。

「中央公園でしたー!運動会だったんだ」

「へっ、へぇー、よかったじゃん」


写真が出来たらしい。

出来上がった写真は
弟とブルーが写っていたものだった。

よかった、バレてない。


その後、
母親が私に向かって小さな声で
「お疲れ」と言った気がするのは
気のせいだと思うことにして。