放課後、数学研究室に向かった。



手前まで来た時、中から女子生徒が出てきた。


栗色の長いきれいな髪に、猫のような瞳が印象的なかわいい女の子だった。


不満そうな表情をしているその子は、私とは反対方向に行ってしまった。





その子とちょうど入れ違いの形で、私は数学研究室の前に来た。

ほんの少しだけ、開いていた扉をノックしようとしたと右手を出した。


その時、

「はぁ」

という誰かのため息が聞こえて、出しかけた手が一瞬止まってしまった。



今のため息は工藤先生…?



さっきの女の子と何かあったのかもしれない。


直感的にそう思った。