家に着くと、ケーキの甘い匂いがした。

お母さんが焼いたクリスマスケーキだ。


「ただいま」


「遥佳、おかえり〜!」




別に去年のことがあったからってわけじゃないけど、なんとなく気が乗らない今年のクリスマス。



街の大きなクリスマスツリーを見るとなんだかため息が出た。


悲しくもなければ、未練もない。


そうは言っても一応、初失恋なわけだし、少しは影響されているのかもしれない。




リビングにあるクリスマスツリーは小さいのに、不思議なことにその存在感は大きかった。