「コーヒー、大丈夫?」


「大丈夫です」


コーヒーは眠気覚ましによく飲んでいるから、ブラックでも飲める。


先生は私の向かい側に座って、マグカップを口に運んだ。



「何かあったか?」



「え?」

授業を聞いていなかったことを怒られると思っていた私は、拍子抜けした声を出した。



「井上が授業中にぼんやりしているなんて、珍しいから。何かあったのかと思って」


「あー…いえ大丈夫です。今日はすみませんでした」


「それとも今日の授業は分かりにくかったか、退屈だった?」


「え、そんなことないですよ。授業のせいじゃないんです」


「そうか。それなら良かった」



授業のせいじゃないけど、先生のせいっていうのは当てはまるのかもしれない。