「あの、ずっと気になっていたんですけど…」


そう言って先生の顔を見ると、先生は私の顔を覗き込んでいた。

思わず、先生の真っ直ぐな瞳に吸い込まれそうになる。



「…やっぱりいいです」


「え?そこまで言われたら気になるじゃないか」


「でも、いいです。何でもないんです。すみません」




ちょうどその時、チャイムがなった。



「あ、授業があるので、これで失礼します」

とお辞儀をして、足早に保健室を出た。



保健室の薫りは、しばらく私の心を離しそうになかった。