先生の背中は大きくて、温かくて、ドキドキした。



どうか、このドキドキが先生に伝わりませんように。





「あ、そういえばお前さ、友達とはぐれたんだったよな?」



先生と会ったことで、すっかり香奈と美優のことを忘れていた。



「あ…そうでした。今さらですね。先生こそ、私なんかといて大丈夫ですか?」


「あー、大丈夫。一応、学校の近くの夏祭りだから見回りしてただけだし」


「そうだったんですね。見回りの邪魔してすみません」


「いや、お前みたいな生徒のための見回りだから」


「え?」



私みたいな生徒のため?



「1人で怪我した足でうろうろして、何かトラブルに巻き込まれたら困るだろう」

と優しく微笑む先生。






その顔にドキドキしながらも

「ありがとうございます」

と小さくお礼を言った。