ホームルームが終わり、美優と香奈が私の席へやってきた。


「その目、どうしたの?」

心配そうな顔で聞く香奈。


「何でもないよ。ちょっと寝不足なだけ」



本当のことを言う気にはなれなかった。


言葉に出すのはエネルギーがいることなんだって知った。



「言いたくなったら言えばいいから。無理はしないでね」


美優には全て見透かされているようだった。



あたしはただ一言、お礼を言うのが精一杯だった。






午後の数学の授業は、とてつもなく長く感じた。


嫌でも工藤先生が目に入る。


その度に、ズキンズキンと痛む胸。




いつまでこんな日が続くのだろう。