「あのね、リエにも言えないことなんだ」
みよちゃんは緑茶で、あたしは林檎の紅茶。
前にアップルティーが好きだって言ったら、置いてくれるようになった。
「ふぅん、めずらしいじゃん」
人見知りのあたしでも、同い年のお友達みたいにすぐ仲良くなれた。
さすが保健室の先生だなぁと思う。
「ありがとう」
さっきしまったイスをまた転がして、そこに腰掛けたみよちゃんから紅茶を受け取った。
冬と春の中間で、肌寒い教室から心地いい保健室に来て、気持ちも自然と落ち着いてくる。
「好きな人がいるんだけどね、あたしその人の話になると
どうしても嫌な子になっちゃうの。
だからもうリエ達には話せないんだ」
いい所で入る相槌に、あたしの涙腺がゆるむ。
だってほんとはこんなの嫌。
楽しく好きでいたいのに。


