「なんでですか」
『舎弟になるか』発言が、
周りには聞こえないんだかと思うくらい小声だったから、あたしも声のトーンとボリュームを落として答えたのに
三雲先輩はニヤっと妖美に笑うと、さっきとは別人のように明るい、ただし気怠げなニュアンスで、無駄なくらいでかい声で言った。
「はいちゅーもくしてー
今日からコイツ、俺の舎弟の
“東堂 梓”クンねー」
わざわざ集めなくても元々注目されていたから、多分みんなに知れ渡ったその勝手な決定事項。
「箔付くよなー
クォーターの舎弟とか」
隣にいた千都瀬に言ったにしては、またしても馬鹿でかい声で三雲先輩が言った発言が衝撃を生んだ。
顔は相変わらず涼しげだ。
「え!?ほんとっすか三雲先輩!!??」
「うん、ほんとほんとー」
「東堂お前クォーターなの!?」
倉本の、三雲先輩のよりも馬鹿でかい声で食堂中に知れ渡ることになったあたしの『嘘情報』で、瞬く間にザワつきを取り戻した食堂。


