……と、今まで黙ってた茶髪が口を開いた。
「…餓鬼くせぇ、」
「はぁ?」
「邪魔だっつってんだよ」
「ハッ、餓鬼って罵倒すればオレがヘタるとでも思ってんの?考えが幼稚なんだよ」
「黙れるようになってから物言え」
あたしは、口だけは達者だねっていつも言われてきた。
言っとくけど、こんなどこぞの野郎に口論で負ける気はさらさらない。
「…女みてぇな顔して何言っても迫力ねぇんだよ」
吐き捨てるように言われた台詞に、あたしはピシッと固まった。
奴はそれを一瞥して、玄関横にあるでっかいカゴから適当にスリッパを取って履くと
怠そうな歩き方であたしを抜いて行った。
『女みたいな顔』
すっぴんで、何もいじってないあたしの顔を。
奴は、そう言った。
あんな状況でお世辞なんてでないだろうし、何より額に青筋が立ってた。
(よろこんでいいのか…?)


