「? …わかった」
「え」
「俺に任せて!」
(なにを!!υ)
バンッ
勢いよくドアは大きな音をたてて開かれた。
千都瀬はあたしの腕をぐいぐい引っ張って離さない。
「ちょ、いた……!」
離せ、と腕をぶんぶんふってみても、堅く握られた手は中々離れてくれない。
「千都瀬…「あ、ちっとせく~ん!いいとこにいた!100円かぁし…」
あたしの声と見事に被った低い男子特有の声が、千都瀬の後ろに一回り小さくあたしがいることに気づいて止まる。
「て……って、そいつ―――」
「転校生。東堂梓。」
八重歯を見せて悪戯っぽく笑いながら、千都瀬はあたしを腕ごとグイッと前に突き出した。
「……どうも」
「…いい奴だよ」
あたしの挨拶があまりに愛想悪かったからか、千都瀬は苦笑いで代わりにあたしを紹介する。
(これじゃ、弟じゃなくて兄ちゃんみたい)
「いい奴って…元ヤ…」
「倉本」
千都瀬は優しく、明らかに同様している相手の名前を呼んだ。
なにかを訴えるように。
「でも……」
「見た目で判断すんの?」
「………」
黙り込んで、申し訳なさそうにこっちの顔色をチラチラ伺ってくるから、あたしはいらついてそれを完全無視した。


