オトコノコの気持ち!

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「俺、千都瀬 零。
 よろしく東堂っ」



…情けないあたしはあれから。


千都瀬に寮までの道がわからないとパチこいて、

『じゃあ一緒に帰ろ』

と千都瀬の優しさに甘え、恐怖の時間から解放された。


そして、今。

寮までの道を、並んでゆっくり歩いてる。



「東堂はどこから来たの?」

「え……っと」




何の邪念もなさそうな千都瀬の目はほんとに犬みたいに真ん丸で。


(睫毛ながっ……!)


あたしとたいしてかわんない男にしてはかなり小さい身長と、なつっこいこいつの性格から、タメだけど弟みたいに思えた。



「なぁ千都瀬」

「アンドウユウガって奴のこと知ってるか?」


「…知ってるも何も、色んな意味で有名」


(色んな意味でってυ)



「うん。……でも
俺噂とか好きじゃないんだ。
そういうの、信じられない」


「…………」



だから何も知らない、
って真顔で言った千都瀬が、
急に男らしく見えて。


(男って、すげぇ)


と、思った。