「……わり、忘れて」
あたしはもはや皺くちゃになってる男の子の袖を軽くパンパンと叩いて、照れ隠しに後ろ頭をかいた。
男の子はまたにこっと笑う。
「うん」
(………切替はえー…)
「俺、多分君探しに来たんだよ」
「は?オレ?」
うん、と頭を縦にふって嬉しそうに八重歯を覗かせる男の子はなんか犬っぽい。
(シッポ見えてきた)
「なんで?υ」
「トウドウアズサくん?」
「うん」
「じゃあ俺の隣だ」
「………なにが?」
「俺と東堂の部屋が隣なの
あ、ちなみに東堂と相部屋なのは別の奴なんだけど」
(相部屋って……)
「え?東堂も寮でしょ?」
「……まぁ…」
また、にこっと笑う。
人懐っこい笑顔で。
「じゃあ間違いないよ!
これからよろしく!ワン!」
……最後のは幻聴だろうな。
『ワン!』とかないよな。まさか。
(うそだろ~……?υ)


