終わった…………かんっぜんに終わりました………
「どーしたの?真っ青だよ」
あたしの頬を親指で撫でる偽王子様に寒気がした。
(こいつ………)
何物??!!
「あれ~?いないなぁ」
向こうの草むらから声がして、ガサガサと足音がこっちにくる。
(や、やばい!υ)
あたしが慌てていると、王子様はやけにいろっぽい口元に綺麗な指をさして
「シィー」
なんて囁いた。
やばい、鼻血………
じゃなくて!!!!!υ
「あ、あの……!」
「……、アズサちゃん」
へ?
あたしが何か反応するより早く、酒の臭いに混じって妖しい香水の匂いが鼻先を掠めた。
チュッ
(……………え)
今、チュッて、
おでこに………キス?
「ぎ、ふごっ」
叫びそうになったあたしの口をなんともいえない力でふさぎながら、王子様はセクシースマイルで涼しげにこう言った。
「アンドウユウガです
覚えといてね、」
そうして
“星の王子様”いわくアンドウ君は去っていった。
………それはそれは優雅に。


