オトコノコの気持ち!



「なるほどね……」


案外、普通。


「ごめん、痛かっただろ?これ固いし……」

「うん」


あまりに即答だったから、自分からふった話なのにアタフタしちゃったあたしに、恐らく見兼ねた王子様は質問をした。


「こんなもん持って…どこか痛めたの?」


そう言ってアイスノンをペシペシと叩いて王子様はあたしを見つめた。

あたしの頬が、紅潮するのがわかる。


「あ、いや、痛めたっつーか…頭打ったから、いちおーもらったんだ。保健室の先生に」


「あぁ」


景子ね、と呟いた王子様はあたしから視線を外して一瞬俯いた。

髪がサラッと落ちる。


(景子って……え?)


それからあたしのおでこにアイスノンを優しく当てた。



「じゃあ冷やしてなきゃだめじゃん」


「あ……、どうも」
(頭なんだけどな……)



ひんやりした王子様の指先が、アイスノンから少しはみ出てあたしのおでこに直にあたってる。

軽く、触れるくらいに軽く。



「……ほら、持って」

「…っあ、ごごごごめん!」


「仕方ないな」


クスクス笑いながらあたしにアイスノンを持たせるためにあたしの手を拾う王子様。


…不覚にもときめいてる自分に『今は男!』と喝を入れた。