「資料はもう届いているよ」
ファイルがたくさん並んでいる棚に宮本が歩み寄ると、次の行動を察した副校長はそう言った。
(資料……)
「私が副校長の佐々木です。これからよろしく、東堂」
「あ、はい、よろしくお願いします」
なんか今日はやたら『佐々木』って名前を聞いた気がする。
まぁよくある苗字だけど……。
それから佐々木副校長は、校則、一応もう一度軽く校内案内、行事、伝統について、あたしが飽きないように丁寧だけど簡潔に話した。
………宮本と副校長の会話からポツポツ漏れた話を繋ぐと、どうやら目的の校長はしばらく出張で不在らしい。
「……大胆これくらいかね。なにか不安な点はあるかな?」
「いえ」
「じゃあもし何かあったら遠慮なく誰かに聞いて下さい」
「ありがとうございます」
これが大人の対応か……!
とか言って、内心一人感動していると、副校長はどっしりした腰をあげて、宮本とあたしは校長室を出た。


