あたしはドキドキしていた。
根拠はなしに、何故か、佐々木さんの目はごまかせないような気がして。
「男ならここで脱げ」みたいなことも平気で言いそうだから、悪い意味で、心臓が激しく脈打っているのがわかる。
「………」
一度目を伏せて、座っていたメインスタッフルームと同じデザインの大きな一人用ソファーに、もう一度ゆっくりと座り直す
それだけの動作が、まるで何時間にも渡ってされているような、小さい頃親に叱られている合間にある沈黙のような
長い時間を過ごしている、そんな気分だ。
そのあと、佐々木さんは挑発的な凛とした笑顔で、あたしをバイトとして受け入れた。
『面白い』
言われたその一言が、あたしには、
『あんたが女だとわかっている』
って言われたみたいな気がして、少し恐怖を感じた。
隣にいた黒瀬は、それに気がついただろうか。
あの時あたしは
一切反らされない瞳に、蛇に睨まれた蛙の如く、固まって動けなかった。


