「この人、俺が中学のときまで世話んなった先輩で、ここ紹介してくれた人」
「あ、初めまして東堂です」
ぺこっと軽く礼すると、黒瀬の先輩は軽く笑った。
笑うと覗く八重歯が似合う。
紹介のときに、やけに“まで”を強調した黒瀬にツッコミつつ、組んでた脚を解いた。そして視線が合う。
「孝介でっす。可愛いから孝介でいいよー。ところでこんなとこに何しに来たの?」
「面接」
「めんせつ…?」
あたしの代わりに黒瀬が答えた。下の名前教えてとちょいちょいうるさかった口が、急におとなしくなる。
「え、あぁ、厨房か!びっくりしたー、一瞬思考止まっちゃったし」
「フロア」
「………は?」
「でかいヘマでもしない限りフロア。まだわかんねーけど」
ぽかん、
まさに、“ぽかん”だ。
すごい。
漫画みたいな“ぽかん”顔。
あたしに向けて言われた言葉に、孝介が反応してる。
黒瀬は平然としてるし、孝介は絶対あたしを女だってわかってくれてるし(ちょっと嬉しい)。
いや、言い方おかしいか。
“孝介は絶対あたしを女だと思ってるし”?


