オトコノコの気持ち!



さっき入店してきた女の子達を見つめながらそう吐かれた呟き。

突然のことに、そのまま歩を進める。

が、立ち止まったのは黒瀬だった。振り向いてあたしの後ろに冷めた視線を向けると、「サボってないで接客して下さい」と毒づいた。


バイト経験はコンビニしかなくて、しかも二週間かそんくらいで無断欠勤の多さを理由にクビになったあたし。


それでもさすがに、この口のきき方はよろしくないと思う。




「冷てぇなー、たまには俺をお客様と同じくらい大事にしてよー。デリケートなんだから」




放られた腕の重力の向きにつられて振り向けば、亜麻色の短髪がよく似合う、鼻筋の綺麗な男。

黙ってればマシな方なのに、話しだすと馬鹿っぽい。多分、語尾を無駄にのばすからだと思う。で、猫背ぎみ。

……残念な感じだ。



全体的に比較的明るくはない店内の、大人な華やかさのあるメインフロアよりやや奥にある更に少し照明の明度が低いバーフロア。


スタッフルームはもう目の前で、黒瀬は変態疑惑を晴らすため(あたしの想像してるゴテゴテのらしい感じの店じゃなく、あくまでナチュラルな店内だということ)

あたしに店の内装を見せようと正面から入ってきたことに激しく後悔の色を見せた。