オトコノコの気持ち!




ぶらぶらと、足を引きずるように歩くのはあたしの癖。


(寮の門限何時までだっけ)


寮からまっすぐ、大きい門を出て、完全に彩我原を出発。

駅までしばらく歩くから、左に曲がってしばらく、大通りにでたらバス停を捜す。

待ち合わせ場所は駅前のマックだって。


……なんか、普段無口な黒瀬があんなペラペラ喋ったのは初めて見た。



(どんなバイトなんだろ)



今夜も風が強くて嫌んなる。

なるべくナチュラルに見えるようにと、元からガチガチに固めるのは好きじゃないから薄付きにセットしてたのを、更に軽くして柔らかさ重視にしたから、微塵も抵抗できずに好きなだけ遊ばれているあたしの髪。



バイト先に行くと決まってから、黒瀬に『キメてこいよ』と何度も念を押された。


だけど重要なことを言わないから、どんな服を着ればいいのか迷った。

だってバイト先に行くのにそんなに気張ったって、どんなバイトかによっては笑い者になるかもしれないし……


冗談には聞こえない口調だったから、一応どんな感じか尋ねれば、『あんたのよさを最大限に引き出す感じ』とかふざけた答えしか返ってこなかった。