でっかい伸びをしてから欠伸を噛み殺して、黒瀬は思いっきり寝起き顔であたし達に問いた。
(なんか、まだ眼がトロンとしてる………)
「“ゲリツボラ戦”!あ、お前だめだぞ、もう死んだから」
「――――ふぅん、」
(ん?υ)
いつもの黒瀬なら、あんた餓鬼臭すぎる倉本の台詞なんかシカトするはずなのに……。
まるで意味を理解してない雰囲気バリバリで、黒瀬は数回ゆっくり瞬きをした。
「……黒瀬、だいじょぶか」
「なにが?」
「………υ」
「あ」
舌っ足らずな喋り方が抜けないまま、眼を少し見開いて黒瀬はあたしに言う。
「いい“バイト”、あるよ」
その台詞で、意識がいくらかはっきりしてきたというように、黒瀬は制服のズボンの右ポケットに手を突っ込んで携帯を出した。
薄型の深いメタリックブルー。


