「ほ、本当に、すいませ…」
「別にいいよ」
(捕って喰われるとでも思ってんのか)
凄いことが起こった。
振り向いたその先にあったのは、本音望んだシチュエーションじゃなかった。
青ざめた顔した男子達と、飛んできた真近のストップウォッチ。
「どうしたらストップウォッチなんか飛んでくんだよ」
「ふざけてて…」
呆れ顔で苦笑いまじりに言った台詞にもビビられる。
意味がわからない。
でも切れたのが顔面じゃなくでこだっただけマシだ。
「まじいてー…、」
「……ゆゆ、ゆるしてください…っ」
…流石に。
そんなに一々ビビられたら傷つく訳で。
「なんでそんなビビんの?」
「………っ…」
黙られたら困る。
「……東堂…」
千都瀬が、自分の事みたいに傷ついた表情であたしの方を見る。
千都瀬は優しいんだ、ってわかってる事なのに、今は……止めて欲しいと思った。
そんな顔されても、あたしにはどうしようもないんだ。
むしろあたしがしたいのに。


